ポールと私の夫がふたりで仲良く通っている「篠笛教室」。来週にはレッスン生のおさらい会が開かれるそうだ。

このおさらい会でソロ演奏をすることになったポール。今まではずっと逃げ続けてきたけれど今回は何とかOKしたらしい。グループ演奏でもソロパートを演奏するよう言われたのに「どうしてもムリ」と言って結局簡単な太鼓のパートをやることで勘弁してもらったらしい。彼は人前で話したり演奏したりするのはどうしても苦手だと言い張る。これってアメリカ人には珍しいのでは?

ポールの母ジュリーにも「Enjoy playing for your self !」と言われたとのこと。私も全く同感!

しかし、かくいう私自身も若い頃は人前で話すのが大の苦手だった。そういう場面に行き当たりそうになると、ご指名を受けないよう、できるだけ目立たないよう息を潜めていたものだ。

そんな私が曲がりなりにも人前に立つ仕事をするようになった最初のきっかけは、20代もそろそろ終わりに近づいた頃、芝居をしなければならない状況に置かれたことからだった。

この話を披露すると長くなるので端折ってしまうと、自分の嫌いなタイプ(と思っていた)役柄を演じなければならないことへの抵抗感、そして失敗を許さない自分自身との戦いなのだった。これを機に生まれ変わったように人前に身を晒すことに抵抗がなくなった私は、その後の人生を大転換させることになったというわけだ。

そんな経験から私がポールに助言したのは「完璧主義を捨てること」。彼の中に「上手に演奏する人が素晴らしい」「下手な演奏は恥ずべきこと」などの価値観が潜んでいるから、失敗しそうな自分を許すことができず、そんな場面から逃げてしまうのだ。人が多少間違えたり上手に演奏できなかったりしても、ダメ出しせずに暖かく見守れる自分になれれば、きっと自分にも失敗を許せるようになるだろう。そしてジュリーが言ったとおり、自分自身が楽しんで演奏できる人になるのだと思う。

さて、来週のおさらい会でどんな演奏を見せてくれるか、私も今回はぜひ立ち会っておかなくちゃ。